“そうであったはずの世界”と“こうなってしまった世界”。
くぐった先にも別のドア。
彼女たちは旅をする。
あらすじ
小さな地方都市。高校生の真知はあることがきっかけで、クラスでも目立った存在の理々子のグループにいじめを受け、不登校になってしまう。
真知の母親は元女優で、華やかな芸能界にいたが、挫折し、故郷の町に戻って来ている。
何事にも悲観的で暗い性格の母親が、しかし、あるトラブルがきっかけで別人のように明るく社交的な人間になる。急に人が変わってしまった母親を前に、真知はその謎を解くべく、母親の過去を探り、彼女の知人を尋ねて「ドア」を開ける。真知を追いかけて来た理々子と一緒に、様々な「ドア」を開けるたび、二人は時空を超えて不思議な旅をする。その旅の中では過去と未来が交錯し、二人は様々な出来事に遭遇しながら、忘れかけていた過去の過ちや、未来の自分の姿を垣間見て、ふと立ち止まり、思案に暮れる。そしてやがてその先に、ささやかな希望を見出してゆく――。
作・演出:倉持裕コメント
これほどいっぺんに世界中の人間の予定が狂うこともなかなかない。コロナ禍前に立てていた企画の多くが中止や延期となり、それを免れたものも内容の変更を余儀なくされた。しかしそのおかげで、予定になかった新たなものが生まれ、約束していなかった人々と出会い、再会も果たした。これは、そうした予定外の経験から生まれた、「そうであったはずの世界」と「こうなってしまった世界」を行き来する、二人の少女の物語である。