狂言の認知度向上へと国内外で多数の狂言・能公演に参加、普及に貢献する一方、現代劇や映画・テレビドラマの主演、NHK「にほんごであそぼ」に出演するなど幅広く活躍している野村萬斎。軽妙なトークで狂言の楽しみ方・曲目の見所などを、わかりやすく解説しますので、狂言が始めての方でも安心してご覧いただけます。幅広くある曲目の中から今年は何が披露されるのか、野村萬斎の魅力ある舞台をどうぞご覧ください。
プロフィール
1931年 6月 22日生 B型 東京都出身。
重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)。2015年文化功労者として顕彰を受ける。祖父・故初世野村萬斎及び父・故六世野村万蔵に師事。3歳で初舞台。早稲田大学文学部卒業。「万作の会」主宰。軽妙洒脱かつ緻密な表現のなかに深い情感を湛える、品格ある芸は、狂言の一つの頂点を感じさせる。国内外で狂言普及に貢献。ハワイ大・ワシントン大では客員教授を務める。狂言の技術の粋が尽くされる秘曲『釣狐』に長年取り組み、その演技で芸術祭大賞を受賞。その他、紀伊國屋演劇賞、日本芸術院賞、紫綬褒章、坪内逍遥大賞、長谷川伸賞等、多数の受賞歴を持つ。02年早稲田大学芸術功労者として表彰を受ける。06年朝日賞受賞。12年旭日小綬章受章。『月に憑かれたピエロ』『子午線の祀り』『秋江』『法螺侍』『敦-山月記・名人伝-』等、狂言師として新たな試みにもしばしば取り組み、現在に至る狂言隆盛の礎を築く。11年、練馬文化センター名誉館長に就任。後進の指導にも定評がある。
1966年 4月 5日生 B型 東京都出身。
祖父・故六世野村万蔵及び父・野村万作に師事。重要無形文化財総合指定者。3歳で初舞台。東京芸術大学音楽学部卒業。
「狂言ござる乃座」主宰。国内外で多数の狂言・能公演に参加、普及に貢献する一方、現代劇や映画・テレビドラマの主演、舞台『敦-山月記・名人伝-』『国盗人』など古典の技法を駆使した作品の演出、NHK『にほんごであそぼ』に出演するなど幅広く活躍。各分野で非凡さを発揮し、狂言の認知度向上に大きく貢献。現代に生きる狂言師として、あらゆる活動を通し狂言の在り方を問うている。94年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英。芸術祭新人賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞等、受賞多数。12年には芸術祭優秀賞受賞。2002 年より世田谷パブリックシアター芸術監督。
曲目
レクチャートーク ・・・・・・ 野村萬斎
軽妙なトークで、狂言の楽しみ方、曲目の見どころを、わかりやすく解説。
「柿山伏」(かきやまぶし) ・・・深田博治 ほか
出羽・羽黒山の山伏が、大峰、葛城の霊地で修行して帰国の途中、道ばたの柿の木に登って柿を食べ始める。それを見つけた畑の持ち主は腹を立て、梢に隠れた山伏をなぶってやろうと、さまざまな動物に見立て、その度に山伏は鳴きまねをするが、鳶のまねをするうちについ飛び降りて…。
「樋の酒」 (ひのさけ) ・・・野村万作 高野和憲 ほか
主人は、日頃から盗み酒をする二人の冠者を、別々の蔵に閉じ込めて外出する。しかし酒蔵の次郎冠者が酒を飲み始めるので、太郎冠者は羨ましくてたまらない。蔵に桶があることを思い出した次郎冠者が、酒蔵の窓から桶を渡して酒を注ぐと・・・。
能舞台様式ならではの本舞台と橋掛かりを効果的に使った、奇妙な酒宴も見もの。
「仁王」(におう)・・・野村萬斎 石田幸雄 ほか
賭博で無一物になった博突打は、在所にいたたまれなくなって何某に相談に行く。何某が一計を案じて『仁王が天下った』と触れ回り、博突打が仁王になりすまして立っていると、聞きつけた参詣人が次々にやってきて願をかけ、供物をしてくれる。すっかり味をしめて次の参詣人を待っていると、足の悪い男がやってきて仁王の足をなで回し…。